とやまらいふ

富山にUターンした82年生まれ男子の富山の魅力発信と古民家改修ブログ

1枚板テーブル製作⑨液体ガラス塗装

さてさていよいよ天板を仕上げて行きます。作業の前にいつも通りウンチクを。

仕上げに何を塗ったら良いのか?と言う事を解説します。とは言え以前も解説した通り、無塗装と言う選択肢も忘れないでくださいね。

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まずは候補となる材料ですが、大きく分けて3つあります。

①オイル塗装

②ウレタン塗装

③液体ガラス塗装

いろんな商品名や、改良品もありますが、大きな区分としてはこの3つの比較で十分だと思います。

では始めますが、そもそもなんで塗装するのか?

理由は3つ。

反りの防止と汚れ防止、それに強度アップ。

木をスライスすると板になるわけですが、漢字で木が反ると書いて「板」。つまり板は反る物なんです。反る理由を語り出すと長くなるので端折りますが、乾燥が不十分だと反ります。ただ、昔より格段に乾燥技術も進んでいるため、反りにくくなっているのも事実です。と言うわけで反り防止は一旦忘れて、今日は汚れ防止と強度アップの2点に絞って書こうと思います。

まずは汚れ防止の解説ですが、汚れ防止を語るには、なぜ汚れるのかを知らないと先に進めませんね。下に板の断面を拡大したイメージを書きました。

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木は生き物なので細胞が集まって出来ています。そして細胞それぞれの間には当然ながら隙間があります。ここに汚れが落ちると下図の左のように、細胞の隙間に入り込みます。慌てて拭き取っても、中まで染みてしまった汚れは右の絵のようにの取れないことがお分かりいただけると思います。

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これがまさに汚れの原因になるわけで、これを防止する為には2つの方法が思いつくと思います。一つは何かでカバーをしちゃう方法。イメージにするとこんな感じ。

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そしてもう一つが、隙間を埋めちゃう方法。これもイメージするとこんな感じです。

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で、早い話が前者がウレタン塗装、後者がオイル塗装、この2つの中間が液体ガラスです。

ではそれぞれのメリット、デメリットについて。

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まずはカバーをするウレタン塗装から。メリットはなんといっても汚れにくさです。カバーしてるので当然ではありますが、基本的にはどんな汚れも寄せ付けません!というわけで何がなんでも汚したく無い方はウレタン塗装がオススメです。しかも表面で固まるので、効果は半永久的です。また、硬化するため表面の強度アップも見込めます。

一方デメリットも当然あります。デメリットは大きく2つ。一つは木の色がどうしても濡れ色になってしまう事。図で分かる通り、表面が常に濡れている状態なので、色は濃くなりますし、ある程度の光沢も出てしまいます。

下手をすると木目が印刷されたシートと大差が無くなってしまいます。そしてもう一つのデメリットはDIY向きじゃないという事。コーティングと言うものは、木材に限らずそうかも知れませんが、加工する人の腕の差が出ます。ムラがあったり、気泡が入ったり素人にはなかなか大変です。とは言え2つ目のデメリットは完成品を買う場合は問題になりませんね。

次はオイル塗装のメリットとデメリット。単純にウレタン塗装の逆です。メリットは表面にオイルが留まらないので、テカリや濡れ感は少なくなります。無垢材の風合いを大切にしたい方は、無塗装の次にオススメです。ただデメリットももちろんあって、抑えられる汚れに制限があります。油なので水系の汚れには強いのですが、油系の汚れには抵抗力がほとんどありません。それと最大のデメリットが、メンテナンスが必要と言う事。塗りつけたオイルは時間と共に、板の深層に入り込んでいきますし、一定量揮発して表面からオイルがなくなって行きます。

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そのため最初の1年は年4回くらい。その後も1年に1回は再塗装がおすすめのようです。ただ手のかかる子供ほど愛着が沸く!なんて言う根拠のない都市伝説もあるので、手がかかることはデメリットばかりではないかもしれません。

というわけで、ウレタン塗装とオイル塗装を解説しました。残るは液体ガラスですが、先ほど書いた通り、ウレタンとオイルの良いとこ取りをしたのが液体ガラスといえます。イメージとしてはメンテナンスがいらないオイルといった感じでしょうか?木の中に浸透しながら一定時間を経過すると硬化し、ウレタンのように塗り重ねが不要です。

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また油汚れにも強く、浸透するため腕の差が出ないためDIY向きですし、濡れ色感も強くありません。硬化するためウレタンほどではないにしろ表面も硬くできます。というわけでほぼ最強です。ただ、やはりウレタン塗装よりは汚れや傷に弱いですし、質感もオイルには劣ります。というわけで、液体ガラスは平均点が高いとも言えるかもしれません。

ウンチクが長くなりましたが、我が家は「液体ガラス」を選びました。何故かというと材料に答えがあります。以前後述しますと書きましたが、今回の材料は机としての強度が不足している「杉」になります。

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 そのため塗装によって強度を補完する必要があるわけで、強度アップが見込めないオイル塗装は選択肢から外れます。あとは雰囲気を重視(液体ガラス)するか、汚れにくさ(ウレタン塗装)を取るかという事になりますが、やはり雰囲気は大事にしたいところです。また、今回はDIYになるので、熟練の技術がいらない液体ガラスを選択しました。

というわけでさっそく加工していきます。まずは以前解説した輪染み防止剤を塗っていきます。

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用意するのは、輪ジミ防止剤と刷毛、それから取り分け用の容器の3つ。刷毛は多用途タイプの幅の広いものがおすすめです。使い捨てになるので、刷毛はホームセンターとかで安い物を探すと良いですし、取り分け用の容器はペットボトルを切って使えばOKです。そして刷毛に輪染み防止剤を染み込ませたら、難しいことは考えず、一気に塗っていきます。

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 なかなかの濡れ色感です。

小口や耳も忘れず、2回塗ったら液体ガラスの登場です。今回は「tatara」さんの「撥水セラミックマルチ」という商品を使います。樹種や使用箇所に合わせていくつか種類があるので、購入される方は専用ページで検討されると良いかもしれません。

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さて、再度同じものを用意しますが、今回からはきれいな布巾も使います。輪染み防止剤が木に吸い込まれて、表面がさらっとしてきたら同じように刷毛で撥水セラミックを塗っていきます。最初は塗った直後から、ガンガン木に吸い込まれていくのでひたすら塗りたくります。全体を一度塗ったら15分程度乾燥させて2回目を塗ります。3回目、4回目と同じ工程を繰り返しますが、途中から場所によって吸い込まれ難い場所が出てきます。

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表面に液体が残るとウレタン塗装のように塗膜ができてしまうので、そういった場所は布巾で拭き取ります。そして撥水セラミックが均一に染み込まなくなったら作業は終了です。

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完全に硬化するには1週間程度時間がかかるので、焦らず完全硬化を待ちましょう。さてここで鋭い方なら「裏は塗らなくて良いの?」なんて疑問に思われるかもしれません。片面しか塗らないと机が反る可能性があるのです。ただ状況的に裏を塗ることが現段階ではできないのであります。おそらく両面塗ったほうが良いのですが、今回は片面塗装で良しとします!今後不具合が起きるようであれば、ブログで紹介しますね。というわけで液体ガラス塗装編。とても長くなりましたが今日はここまで。次回は1枚板テーブル製作最終回(予定)です!ではまた。