とやまらいふ

富山にUターンした82年生まれ男子の富山の魅力発信と古民家改修ブログ

古民家の耐震を考える

古民家改修平面の決定要因解説シリーズ第二弾(今勝手に名前をつけましたが…)、今日は耐震について。

2020/01/28

平面計画と耐震補強

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耐震補強のメニューは非常に沢山あります。

本来ならば、補強設計を全てやって、コスト調整の上、工事をするのがベストですが、

時間もお金もありません。

まずは平面計画と耐震壁を一緒に考えたいと思います。

かなり前になりますが耐震診断の恐ろしい結果をお伝えしました。さすがにこのまま住むのはリスクが高すぎるので対策をします。

www.tomtoy.site

耐震補強と一言で言っても、沢山の耐震補強方法がありコストもピンキリです。じゃ何がやれるのか、何をやっておくべきかというと、将来手が付けにくい事をやっておく!というのが一つの回答だと思います。将来手が付けにくい事と言うと、人が後から入れない場所の対策が挙げられます。そしてもう一つ、平面計画上対策出来る事を考えておく。という事も将来の為に今やっておくべき検討です。具体的には耐震壁(普通の壁ではなく、地震時に耐えてくれる強い壁の事です。)を追加していく事になりますが、使い勝手上も空間の広がりなども考えると後から壁だけ足すと言う訳にもいかないので、今考えておく必要があるわけです。

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ただ古民家の魅力の一つは、壁がなく開放感があり、ふすまの開閉で空間が可変できる事だと思っています。その為、壁を追加するのは極力避けたい所ではあります。

とは言え空間の使い方、平面計画をきちんと考えるとキッチン周りや収納、仏壇の背面などなどふすまにしておく必要のない場所は意外とあります。エアコンを設置するにしても壁は必要です。(天井カセットタイプなどもありますが、、、)

と言うわけで、平面計画と共に耐震壁の位置を検討してしまおう!というのが第一段階の耐震補強の方針になりますが、大事な事が2つあります。1つは「バランス」。もう一つは「構造体との整合」です。

一つずつ解説します。

まず一つ目の「バランス」ですが、耐震壁の配置のバランスがとても大切で、バランス悪いと全く意味をなさない、という事態が発生します。

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良い例えが見つからなくて申し訳ないのですが、イメージとしてはプリンですね。(笑)プリンをお皿に乗せてフリフリさせてみてください。多分プルプル震えるだけで崩れないと思います。その次にプリンの片方だけ指で押さえて同じようにフリフリしてみて下さい。おそらく指で押さえた辺りが崩れるはずです。食べ物で遊ぶのはよろしく無いですが、要するに1箇所だけ硬くしても、それ以外との境界が壊れたり、変形してしまう可能性があるのです。と言うわけで一つ目の大切な事は「バランス」でした。

次に、もう一つの構造体との整合ですが、耐震壁は効果が最大限発揮できる場所に設置する必要があります。構造体を理解し、構造に合わせた壁の設計をしなければ全く意味のないものになってしまいます。

例えば、我が家の場合ですが、下の図が母屋の平面図です。

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一見すると下図の赤色の箇所に壁を入れれば、柱もあって効果があるように思ってしまいます。

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ところがどっこい、小屋組みを含めた下の3Dモデルを見てください。この赤い部分の上部には梁(青色)がありません。つまりここに壁を設けても、構造フレームから外れており、上部が固定されない為、十分な効果が発揮されないのです。

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というわけで、こういった上記2点に注意しながら、平面計画と壁による耐震補強を考えていきます。

以上長々と書きましたが、「平面計画と耐震補強」の記事はここまで!また次回~