古民家記事を少し休んでました。すみません。
さて今日は前回の古民家記事(https://www.tomtoy.site/entry/2019/08/02/133512)の続きです。通り芯の決定の中で、実測が実は必要無かった!って言う衝撃の事実の解説です。
2019/04/22
畳サイズから通り芯を判断する
江戸間なら通り芯間隔は迷わず3640mm!
メートル法で見てるときりの悪い数字ですが、
尺貫法に直すとぴったり12尺。
日本の歴史と寸法感覚が生んだ数字のマジック。
驚きです!
日本ならではの寸法、今後の参考にしたいですね。
では解説始めます!
何故通り芯を測定する必要がないか。
それは日本人ならお馴染みの畳マジック。
四畳半、六畳間、八畳間などいろんな大きさがありますが、日本人なら比較的簡単に大きさのイメージができるのではないでしょうか?
不動産情報なんかもフローリングなのにも関わらず、未だに「○帖」なんて表現が残ってますもんね。
と言うわけで畳の枚数を数えれば、通り芯なんてかけちゃうんです。
なんだー簡単やねか!と思ったあなた。
そんな簡単じゃないがやちゃ!
(何故か富山弁…)
実は畳のサイズには種類があります。京間とか、江戸間とかって聞いたことないですか?
他にも中京間とか団地間ってやつもいます。なので最低でも畳のサイズは測ってやる必要があります。
それぞれのサイズを記載すると、
・京 間:955mm×1910mm
・中京間:910mm×1820mm
・江戸間:880mm×1760mm
・団地間:850mm×1700mm
になるようです。
ちなみに我が家は江戸間でした。
ところでなんでこんな中途半端な数字なのか疑問に思いません?
思いますよね?
と言うか上記サイズも本来のサイズはもっと中途半端な数字です。
そこには日本ならではの長さの単位が関係してます。いわゆる尺貫法ってやつです。
尺貫法そのものを話し始めるとまた大変なので、尺貫法については次回書きますが、基本単位として今は1寸=30.3mmを覚えてください。
(正確には30.30303030…のようです)
んで1寸の10倍が1尺=303mm。
3尺は909mm、6尺は1818mmです。
気づきました?
そうです。中京間の畳の短辺が910mm、長辺が1820mmでしたね。
まさにこの中京間がこの3尺×6尺のサイズです。ホームセンターなんかでコンパネなんかを買いに行くと、よくサブロク板(3×6)なんて表示がありますが、まさにこのサイズを示しているわけです。
ちなみに、不動産情報では部屋の大きさに「畳(じょう)」といいう字ではなく「帖(じょう)」の字を使います。
これは同じ6畳間でも京間と団地間ではタンス一個分くらい大きさが変わってしまうため、誤解の無いよう決められた単位で、1帖は約1.65平米となり、ちょうど中京間1畳分に当たります。
さらに皆さんは「坪」と言う単位もご存知だと思います。土地の価格表記でもお馴染みですね。坪単価○万円なんて表記がされてます。1坪の価値を示した指標ですが、この1坪の大きさが6尺×6尺のまさに中京間2畳分のサイズになります。
とここまで読むと世の中では中京間が主要な気がしますよね?
ところがどっこい、中京間が圧倒的に多いというわけではなさそうです。
何故か?
歴史なども深く関わっているので一概にこうとは言えませんし、解説すると長くなりそうなので省略しますが、どうも年貢の計算方法が関係しているようです。ただ設計者の観点から考えると江戸間が効率が良かったんじゃないかな?って思ったりします。専門用語では中京間は畳割り、江戸間は柱割りと言いますが、図面を書いてみると一目瞭然で、要は通り芯間隔を切りの良い尺に出来るか出来ないかに違いがあります。
順を追って説明します。まず部屋には必ず柱がありますね。
で、よく古民家の柱は太いから丈夫。とか都市伝説のように語られますが、古民家では4寸=120mmの柱が多く使われています。この辺りが整理できるといろいろわかってきます。
まず、江戸間の8畳間を描いてみます。こんな感じです。
次に8畳間の四隅に柱を立てます。古民家なので120mm(4寸)にします。
前回のおさらいになりますが、柱の芯が通り芯でした。
通り芯間隔が見事に12尺=3640mnになりました。
12尺ぴったりという事もさることながら、半分にすると6尺。3等分すると4尺。
5等分を除いて整数分割してもひたすら切りの良い数字になるのです。
これは設計する人にとっては、計算が楽でとても助かります。
同じことを中京間でやると通り芯間隔は12尺4寸=3760mmになります。
全くキリがよくないですね。
とはいえキリが良くないから設計できないなんてことはありませんし、メートル法であれば江戸間もキリの悪い数字です。
というわけで、今日は通り芯決定の目安になる畳の大きさに触れてみました。
畳は本当に奥が深く、古くは畳の淵の色で身分の高さを示していたり、上司に配慮して小さめの畳にしたりと、畳の色や大きさの変化の経緯はとても興味深いところです。その辺りもいつか記事にしたいですが、まずは実測を進めましょう。
という訳で今日はここまで。
次回は尺貫法の話をちょっとしたいと思います。